俺の親父は板前だ
週2回 築地に仕入れに行く
俺の職場は実家の店に近い
毎朝 自分の家から実家に車で向かい
実家の店の駐車場に車を停め
実家から自転車で会社に向かう
夕方
仕事を終え自転車で実家に戻る
駐輪場の壁に張り紙
「持って行ってほしいものがあるので寄っていくように 親」
なんだろう.....?
店の裏手から店内へ
まだ店を開けて間も無いのでカウンターにもテーブルにも客の姿は無い
板場から親父の声
「淳一 カツオ持ってけ」
ぶっきらぼうに言い放つ親父
親父は黙ってカツオに包丁をあてる
俺は親父とは性格が合わない
顔を合わせれば大概ケンカになる事が多い
言葉を交わすのも稀だ
それでも仲間を連れて親の店に連れて行くと 精一杯の腕を振るってくれる
自分や家族の特別な日は本気を見せる
クソ真面目に30年以上板前を続けてる
俺がどうしようもないほど世の中に迷惑をかけていた時も
店が理不尽な理由で無くなりかけた時も
親父本人が死と生との狭間で揺れた時も
親父はなんとか踏ん張った
今は人生で一番楽しんでいるように感じる
お袋も親父以上に踏ん張った
2人は性格が合わない
でも 多分どちらかが生を全うするまで共に歩むのだと思う
今はただ漠然と そう思えるようになった
俺は 真面目に生きる事が罪滅ぼしだと思ってる
普通に老後をおくらせてやれるように
身体が許す限り 店を続けていけるように
親父からもらった刺身を持ち帰ると 相方が喜んだ
そして 肉じゃがを作ってくれた
茶碗に五穀米をよそり 2人で食べた
2人とも笑顔で食べた
贅沢とは こういう事なんだ
幸せとは こういう事なんだ
居場所とは ここなんだ
「自然な生き方が 健やかな生き方」
(ホピ族の格言)
hisax
2007
29
Aug
不器用な愛情
1:08 AM










